美味しい焼酎を精製するオルガノの技術
皆さん、焼酎はお好きですか?
焼酎は麦や米、芋などの原料を麹と発酵させて造られる蒸留酒です。
実は、焼酎が造られる過程でもイオン交換樹脂が活躍しています!
今回のコラムでは、焼酎精製の現場で活躍するオルガノの分離・精製技術について解説します。
焼酎精製の過程にオルガノはどう関わっているの?
イオン交換樹脂は、古くから本格焼酎(乙類焼酎)の酒質改善に利用されています。 1950年代から、焼酎精製用実装置は使用され始めており、オルガノの焼酎精製装置も1959年より実用されています。 |
では、イオン交換樹脂による精製によって、焼酎はどのように変化するでしょうか?
本格焼酎は、麦などの主原料と麹を発酵後、単式蒸留を行うことで作られます。主原料の風味や豊かな味わいが感じられる一方で、原酒には悪酔い成分である「アセトアルデヒド」や、苦みや渋みの元となる「フーゼル油」などの不純物も含まれます。
そこで、オルガノの分離・精製技術が活躍します。
焼酎精製の効果は、原料本来の持ち味を生かしながらも、このような不純物を分離除去することにあります。
焼酎精製装置の構成と精製の仕組み
イオン交換樹脂を用いた焼酎精製システムは、アルデヒド除去塔とイオン交換塔の2つの塔から構成され、原酒を本装置に通液することで精製することができます。
図1 焼酎精製装置のフロー
アルデヒド除去塔では、悪酔い成分「アセトアルデヒド」を除去します。
アルデヒドはイオンではないため、直接的にはイオン交換樹脂に捕捉されません。そこで、アルデヒドと複合体を形成する亜硫酸水素イオンを予め陰イオン交換樹脂に吸着させておきます。この工夫によって、原酒からアセトアルデヒドを除去できるようになります。この時、焼酎の焦げ臭の原因となる「フルフラール」もアセトアルデヒドと同様の機構で除去することができます。
イオン交換塔では、イオン交換によって有機酸や金属イオンなどのイオン性不純物のほとんどが原酒から除去されます。さらに、渋味や苦味を呈するフーゼル油などもイオン交換樹脂の母体に一部吸着されるため雑味が取り除かれます。
いい香り成分だけを残す技術とは
ここまで不純物の除去についてお話してきましたが、焼酎の「いい香り」はどう残せるのでしょうか?
実際の焼酎製造においては、目的の香味を持つ製品をつくるために様々な工夫がなされています。
図2 新!焼酎精製システム
イオン交換樹脂を用いた焼酎精製システムにおいても、通液流速を調整することでいい香り成分を残す工夫をしています。香味成分であるエステルは、イオン交換樹脂の母体に一部吸着されますが、流速を速くすることによってイオン交換樹脂との接触時間を減らし、吸着されにくく調整します。その他の方法として、エステルが吸着されにくいイオン交換樹脂を選定することによっても香味成分を残存させることができます。(弊社特許)
イオン成分は流速が速くても除去されやすいため、原料由来の香りはお楽しみいただきながら、すっきりとした軽やかな飲み口の焼酎にすることができるというわけです。
まとめ
今回は、オルガノの焼酎精製技術についてお話しました。
- 焼酎精製の過程にオルガノはどう関わっているの?
- 焼酎精製装置の構成と精製の仕組み
- いい香り成分だけを残す技術とは